■日時: 令和6年3月23日  ■句会場: 紙上句会  ■兼題: 溶  ■参加者: 15名

合点 作      品 作 者 選     者
9 三月や吾に生きるといふ仕事 阿部綾子 ○主宰 貞雄 ○ひろ子 ○満智子 克美 悦子 水貴 弘香 ○誠山  
6 普通てふ大切なこと草を摘む すずき巴里 けいし 満智子 たく 克美 玲華 誠山  
5 住みつきし町がふるさと桜餅 阿部綾子 けいし 悦子 加津 誠山 玲華  
4 ゆつたりと呑み込む夕日春の海 金田けいし 貞雄 いづみ 綾子 誠山   
4 春愁や回して溶かす角砂糖 佐藤弘香 ○けいし ひろ子 加津 誠山   
4 飛び石をとんとんとんと跳んで春 尾形誠山 ひろ子 水貴 けいし 克美  
4 味噌蔵の裸電球春灯 名倉悦子 主宰 けいし 満智子 弘香  
3 春うらら不定愁訴の付きまとふ 竹田ひろ子 貞雄 水貴 ○綾子  
3 モノクロの写真重たき春愁 阿部綾子 ○主宰 貞雄 弘香   
3 師の庭の井戸に蓋ある諸葛菜 佐藤弘香 けいし いづみ 加津  
3 春泥や杖重心の歩巾かな 佐藤満智子 克美 悦子 弘香  
3 絵の具溶く雪山白く雲白く 佐藤いづみ ○たく ひろ子 加津  
3 天ぷら粉溶き初物の蕗のたう 佐藤玲華 貞雄 ひろ子 いづみ   
3 字配りのある置手紙春の宵 まつのたく 主宰 玲華 誠山  
3 師の笑みの優しさ凛と紫木蓮 佐藤弘香 克美 いづみ 綾子   
3 逃げ水や病院行きの窓の外 佐藤いづみ 満智子 加津 綾子  
2 たんぽぽの根の張る強さ溶岩原 まつのたく 貞雄 ○玲華   
2 カフェラテのミルク溶け合ふ春の宵 竹田ひろ子 水貴 綾子   
2 耳鳴りに音階つけて春の月 水貴 悦子 満智子   
2 雲割れて山の笑ひを誘ひ出す 田中貞雄 ○いづみ たく   
2 春の夜カクテルグラスの細き脚 降幡加津 主宰 誠山  
2 春の宵胎児のやうに丸く寝て すずき巴里 ○弘香 悦子   
2 早々に空に昇るや白辛夷 水貴 貞雄 いづみ   
2 空の青海の碧より桜貝 すずき巴里 けいし 悦子  
2 羊羹の耳のしろじろ春の雪 金田けいし 水貴 弘香   
2 ことのほか白透きとほる夜のこぶし 竹田ひろ子 満智子 弘香   
2 蕗の薹屈みつつ撮り声を聞く 田中貞雄 主宰 たく  
2 春泥や歌舞伎の見栄のごと避ける まつのたく ○主宰 加津  
2 ワルツのリズム探る山路の蠟梅花 吉田克美 ○水貴 加津  
2 春彼岸近くて遠き黄泉の国 竹田ひろ子 満智子 ○悦子  
2 雛まつり妣呼び起こす遊山箱 尾形誠山 主宰 玲華  
2 虎杖の赤芽ちらほら溶岩(ラバ)の道 田中貞雄 ひろ子 いづみ  
2 春の闇地球の上の戦火跡 水貴 主宰 ○克美  
1 酒の香の墨絵のやうな霞かな まつのたく 綾子  
1 娘は育ち老いの楽しみ雛飾る 佐藤玲華 たく   
1 三ッ葉の香あんかけ汁の溶き玉子 金田けいし ○貞雄  
1 しだれ梅人・人・人や人恋ひし 降幡加津 克美   
1 春雨や遺跡に猫の雨宿り 名倉悦子 たく   
1 歩くたび強くなる足椿咲く 降幡加津 たく  
1 川床を真つ新にするミモザ風 田中貞雄 水貴    
1 春色に絵の具溶く画家芽立時 尾形誠山 玲華  
1 菜の花や月は光を集めたる 水貴 ひろ子  
1 耐えがたき三度目の春主都キーウ 佐藤満智子 玲華  
1 嫁ぎ先を先づ済ませたる彼岸寺 佐藤玲華 主宰   
1 水割りの溶ける氷の音春夜 阿部綾子 貞雄   
1 愛猫の上下関係春うれひ 佐藤弘香 綾子   

  

   柿の木句会メモ

   主宰特選

    阿部綾子 三月や吾に生きるといふ仕事
     選評   生きること生かされていることの必要性
         大事を考える年代の重さです。

    まつのたく 春泥や歌舞伎の見栄のごと避ける
     選評    一瞬の動作が愉快。目に見えるようです。

    阿部綾子 モノクロの写真重たき春愁
     選評   現実の写真の重さを言いながら、家族の歴史、 
         そして昭和、平成、令和の時代の重さが含まれています。

   田中貞雄特選
  
    金田けいし 三ッ葉の香あんかけ汁の溶き玉子
     選評    手料理の親子丼を詠まれたのであろう。ふわふわとろとろ
          感がよく表現されている。最近、試行錯誤で食事作りに挑戦
          しているので、羨ましい出来栄えに刺激をうけた。
     
       ○ 佳作に推した次代の二句も、前句は春特有の心象を・後句は 
        晩春のおおらかな情景を詠まれた事に共感している。 
          
           春うらら不定愁訴の付まとふ  竹田ひろ子
           ゆつたりと吞み込む夕日春の海  金田けいし
 
    4月 紙上句会

    4月兼題 『 存 』 尾形誠山さん出題
   
    投句締切 4月18日(木)
    選句締切 4月25日(木)

    兼題1句・雑詠3句・出句控・出句料千円同封にてご送付下さい。

    投句先 竹田ひろ子