■日時: 令和元年10月10日(木)  ■句会場: 流山・松ヶ丘自治会館  ■兼題: 見  ■参加者: 13名

合点 作      品 作 者 選     者
15 シャンソンを愛犬と聴く良夜かな 覚本秀子 美智子 寿夫 むつみ 節子 かつひろ  
15 満月へ正坐の猫のシルエット 石川寿夫 〇美智子 欣也 〇むつみ 青史 鷹乃  
14 芋茎の糅飯食し今日ありぬ 田中貞雄 〇美智子 寿夫 久美 〇鷹乃  
14 闇を掻き闇を深めて虫すだく 石川寿夫 貞雄 欣也 久美 むつみ  
14 秋じめり前頭葉の停止中 鈴木幸江 美智子 節子 青史 鷹乃  
14 黄落や黄泉も斯くやと佇みぬ 山青史 美智子 寿夫 〇欣也 〇久美  
14 三方のうさぎの団子良夜かな 鈴木幸江 美智子 〇寿夫 久美 〇青史  
14 納骨を一日延ばし秋彼岸 鳥居美智子 寿夫 節子 青史 かつひろ  
13 鷹山の愛でし赤湯の秋御膳 佐藤弘香 美智子 久美 青史  
13 西日射す墓苑の隅の女郎花 本島むつみ 美智子 欣也 かつひろ  
13 鯉の口ぱくりぱくりと秋の音 佐藤弘香 美智子 寿夫 むつみ  
12 雲抱く懐山は薄紅葉 入江節子 美智子  久美  
12 秋彼岸親の年越し独り言 鈴木幸江 美智子  かつひろ  
12 口に出すほどにはあらぬ秋思かな 川上久美 〇美智子  むつみ  
12 秋灯パソコン裏から蜘蛛の顔 あかさか鷹乃 貞雄  青史  
12 松虫草の色を愛しむ曇り空 本島むつみ 貞雄  欣也  
12 故郷はビルに沈みぬ秋の雲 あかさか鷹乃 寿夫  青史  
12 片言の日本語まじる夜学校 山青史 久美  かつひろ  
12 異国人大型リュックで踊りの輪 入江かつひろ 美智子  寿夫  
12 柚子坊の威嚇は赤きジャンケンポン 鳥居美智子 貞雄  むつみ  
12 末枯の町に光し子等の声 覚本秀子 貞雄  節子  
12 師の庭の曼珠沙華また曼珠沙華 佐藤弘香 美智子  節子  
12 山のあなたにあるてふ幸や鰯雲 川上久美 貞雄  寿夫  
12 暖竹の色なき風や荒磯道 田中貞雄 欣也  むつみ  
12 カナリヤの喉を転がす菊日和 石川寿夫 貞雄  美智子  
11 水音をかたへに木曽の秋澄めり 小泉欣也 久美  
11 逸る気をそがるる秋霖の一日 川上久美 貞雄  
11 デイケアのバスによく遇ふ暮の秋 山青史 美智子  
11 青汁をあたたこうせむ宵月夜 鳥居美智子 欣也  
11 星月夜真下真上のプレゼント 入江節子 美智子  
11 秋澄めり廊下を渡る川の音 入江かつひろ 鷹乃  
11 老いじゃない分け合う一尾初秋刀魚 入江節子 鷹乃  
11 滑走路青と碧との秋の天 あかさか鷹乃 〇節子  
11 ゆきあひの風のかぐはし盆の僧 小泉欣也 節子  
11 蜘蛛の巣に枯葉絡みて舞踊る 覚本秀子 かつひろ  
6 「兼題句」見送りは芒揺れゐるところまで 川上久美 美智子 〇欣也 〇むつみ 〇節子 青史 鷹乃  
3 「兼題句」マルコ・ポーロの見聞録を読む夜長 山青史 〇貞雄 美智子 〇寿夫  
2 「兼題句」台風をどう迎え撃つ風見鶏 田中貞雄 〇美智子  寿夫  
2 「兼題句」蔵さやか匂ひ袋も形見にて 小泉欣也 〇久美  鷹乃  
2 「兼題句」思草に見えてよりの満足感 本島むつみ 美智子  久美  
2 「兼題句」月見豆この一刻を合掌す 鈴木幸江 美智子  〇鷹乃  
1 「兼題句」見返して門標探す星月夜 覚本秀子 〇かつひろ  
1 「兼題句」幹に見る翡翠瓔珞樗の実 あかさか鷹乃 貞雄  
1 「兼題句」月の兎跳んでお出でと夢見る児 石川寿夫 美智子  
1 「兼題句」会見の部屋を間近に穴惑ひ 鳥居美智子 寿夫  

令和元年10月10日  つげ句会 特選句評

☆田中貞雄・兼題句特選
「マルコ・ポーロの見聞録を読む夜長」(山青史)
 兼題を出されると、ユニークな句を発表しようと、つい構えてしまう。掲句は、秋の夜長を楽しみつつ読んでいる。西洋世界に日本の存在を日本に伝えたマルコ・ポーロの「東方見聞録」であるが、身近によい素材を見つけたものである。「見」の文字を使った俳句は動詞の「見る」が多い。

田中貞雄選・佳作から
「柚子坊の威嚇は赤きジャンケンポン」(鳥居美智子)
  柚子坊はアゲハチョウ類の幼虫の俗称。柑橘系の葉を好んで食べる害虫である。羽化すると美しい蝶になるが、幼虫の成長過程で小鳥の餌食になる。この句は、外敵に対する「威嚇の赤」と、刺激すると頭部が突起する現象を「ジャンケンポン」と独自の観察力で表現したことに瞠目している。

「幹に見る翡翠瓔珞樗の実」(あかさか鷹乃)
  樗の実は、楝の実、栴檀の実、金鈴子等の別称がある。落葉高木で葉が落ちて黄色い実になった景は美しい。そんな樗の実を翡翠のようだ、瓔珞(仏像の頭・首・胸などにかけて飾り)のようだと捉え、空に映える樗の実を表現している。即物的実感である。

☆鳥居美智子特選句評
「満月へ正坐の猫のシルエット」(石川寿夫)
 子供の頃、長火鉢の猫板に置きっぱなしの本にあった盲目の夫とその妻の俳句、そして挿絵を思い出しました。今月十月十三日の月も台風一過の見事な月でした。我家の「こりん」も神妙でした。

「芋茎の糅飯食し今日ありぬ」(田中貞雄)
 ずいきは美味ですからご馳走でした。南瓜の茎は不味かったけれど、薊のも油で炒めれば棘も気になりませんでした。懐かしいです。

「口に出すほどにはあらぬ秋思かな」(川上久美)
 言い得て妙、のお手本のよう。ちょっと妬けます。

「台風をどう迎え撃つ風見鶏」(田中貞雄)
 風の方向を知らせるのが仕事の風見鶏ですから当たり前と言えば、その通りですが、風速50mとか60mとか聞けば心配になります。作者の励ましと優しい思い遣りが伝わります。

☆石川寿夫特選句評
「三方のうさぎの団子夜長かな」(鈴木幸江)
 広い縁側。三方に供えた団子。活けられた芒が、中秋の名月を招んでいる。中七の「うさぎの団子」の措辞が巧み。幼時のおだやかな生活を想起させる。

「マルコポーロの見聞録を読む夜長」(山青史)
  中国を中心として、広大な地を巡ったイタリアの商人マルコポーロ。日本を黄金の国として紹介している。虫のすだく夜、一気に読み進む。今宵は大きな夢路を辿りたいと思う。


☆当日出席者の特選句評
小泉欣也特選
「黄落や黄泉も斯くやと佇みぬ」(山青史)
 暗黒の世界とされている、誰も知らない黄泉の国を、「黄落」と結び付けた作者のユニークな発想に脱帽。黄泉とは、まことにこのような世界であって欲しいものである。
  
「見送りは芒揺れゐるところまで」(川上久美)
  兼題句はややもすると作為的な句になりがちだが、日常の一齣をさらりと詠んだところがよい。いつまでも見送りたいという作者のやさしい気持が「芒揺れゐるところまで」の措辞によく表れている。

川上久美特選
「黄落や黄泉も斯くやと佇みぬ」(山青史)
  黄落の代表はやはり銀杏でしょうか。日差しを伴えば、その明るさは如何ばかりか。しかし、しきりに舞い散る黄落の中に佇むとき、明るさばかりでなく、人に物思わせる何かがある。ふと、黄泉もこんな感じであろうか・・・・など。黄という字からつながったのでしょうか。

「蔵さやか匂ひ袋も形見とて」(小泉欣也)
 蔵と匂い袋の取り合わせは珍しい。まあ、蔵の中の箪笥の抽斗にでもあったのでしょう。母上か姉上の形見の匂い袋を見つけたとき、一瞬にして暗がりの蔵の中を爽やかな風が吹き抜け、懐かしさがこみあげてきたことでしょう。 

あかさか鷹乃特選
「芋茎の糅飯食し今日ありぬ」(田中貞雄)
  現在も、BSで「おしん」を放送している。糅飯といえば大根飯かと思っていたが、地方によっては芋茎を入れたところもあるという。戦後75年を思い返し、よくここまでやって来たと自分自身を認める感慨の句と思った。

「月見豆この一刻を合掌す」(鈴木幸江)
  月見豆は十五夜にお供えする豆。月の光の中に静かなひとときを過ごしている。しみじみ日本の秋の風情を楽しめる「今」を有難いと思った。自然に手が合わさった。この場合は「この」が効いている。
  


次  回 : 令和元年11月14日 (木)
句会場 : 流山市東部公民館
兼  題 : 「  通  」
特  記 : HP上の句会報は、句会後1ヶ月のみ、兼題句には「兼題句」を付します。
        自由題句の合点は二桁表示とし、翌月更新時に平常表記に訂正します。