top   No.126

日時 :平成14年6月8日(土)
吟行先:田谷の洞窟 大船観音
参加者:24人

次回 平成14年7月吟行予告

集合 :7月13日(土)午前11時
     JR 鎌倉駅西口改札口
吟行先:鎌倉駅〜極楽寺坂〜
      御霊神社(昼食)〜長谷周辺
句会場:若宮大路ビル
TEL:0467-22-1496

作       品
作 者
選     者
大師像の鼻の動きし実梅かな 田中一美 ふみを 快泉 巴里 弘香 啓花
○まりの
竹皮を脱ぎ海光の美貌仏 盛戸まりの 美智子 快泉 巴里 なつ ○弘香
雅生
風ゆたか洞を守りし茂りかな 河村啓花     
洞窟の一灯恃む苔の青 中島宏枝 ○美智子 ふみを のぶ子 なつ
青嵐や胎内仏にある沈思 竹田ひろ子 ○宏枝
滴りは声明ならむ田谷の窟 中島宏枝 ○美智子 ふみを けんじ 貞雄
○雅生○一美
梅雨近し仏の息かゆれる燭 河村啓花 けんじ 快泉
前梅雨の暑さ凌ぎの修行窟 田中貞雄  
観音の巨体を晒す大南風 田中一美 ○貞雄 ○巴里
手燭の炎鑿跡はみな仏画めく 中田のぶ子 美智子 貞雄
ノミ跡に佛無数の涼灯し 吉田克美  
修行洞しづしづゆけば避暑心地 秋山しのぶ 貞雄 克美 幹 まりの
鑿のあと灯すも涼し闇伽藍 鈴木直枝 美智子 ふみを けんじ 曲水
観音のまなざししづか田水張る 佐藤弘香 一美 まりの
滴りを金剛水として崇む 中田のぶ子 ○美智子 ふみを ○けんじ 貞雄
よしき 雅生 一美 克美 暢子 
羊歯窟の迷路手燭の先重り すずき巴里  
五月病曳きづつて入る坐禅窟 田中貞雄 ○ふみを 曲水 宏枝
田植あと水の光のたどる凪 佐々木なつ 克美
燭暗く武将の座像黴び給ふ 石田快泉  
霊水の大師の加持や苔茂る 加賀暢子 快泉
南風吹く鑿跡しるき地底地図 熊谷ふみを 美智子 直枝
燭揺るる涼気霊気の行者道 大西よしき 美智子 ○けんじ 快泉 貞雄 なつ
地底伽藍弥勒も汗をかき給ふ 中田のぶ子 美智子 巴里 直枝
聖歌リレーめく羊歯窟の燭灯す すずき巴里 美智子 東子
みはるかす観音の視野青嵐 鈴木直枝 けんじ ○なつ
観音の伏し目を癒す新樹光 佐藤弘香 曲水 快泉 ○幹 啓花
水無月の金剛水の香りかな 中島宏枝 ふみを 曲水 啓花 まりの
闇涼し千尋の奥の仏たち 鈴木直枝 美智子 曲水
瑜伽堂を出て灼熱の地獄かな 吉田克美  
仏内を迷走するや夏帽子 村松 幹 曲水 東子
くらやみに匂ひひろごる供花の菊 浅見まさし 快泉
片蔭のなき観音の伏目かな 舩山東子 ○なつ
胎内の一隅に入る大南風 中島宏枝 ふみを ○東子 幹
地底より求道の灯り額の花 竹田ひろ子 貞雄 直枝
微か灯の洞に育む苔清水 大西よしき  
洞窟(ほら)が生みし揚羽は慈悲の瞳を
持てリ
浅見まさし  
汗の眼をこらす五大明王の闇 遠藤けんじ  
洞出でて目に突き棘さる金糸梅 浅見まさし のぶ子 いづみ
夏暗く諸仏へ燭の穂のなびく 遠藤けんじ ○美智子 ○快泉
汗ばむを癒す行者のお洞窟 佐々木なつ  
待つといふことは女の性花ざくろ 石田快泉  
茱萸熟れて胎内仏にシャンデリア 盛戸まりの 東子 弘香
田谷の窟帰るに惜しき日傘折る 佐藤いづみ 美智子
滴りに掌の熱冷やす行者道 遠藤けんじ 啓花 暢子
大船観音白衣千畳風薫る すずき巴里 美智子 貞雄
観音の素肌を洗う大南風 河村啓花 美智子 けんじ 快泉 雅生 宏枝
胎内を一鐘ながる青嵐 熊谷ふみを  美智子 まりの
炎昼や仏の闇に四季はなし 遠藤けんじ ○曲水 快泉
石仏物の怪見えし夏帽子 佐藤いづみ  


  
大船観音                            岩煙草

作            品
作    者
選       者
石童丸崖滴りを父の声 鈴木直枝 美智子 ふみを けんじ 
阿吽の獅子涼しき縁結ぶ窟 吉田克美 美智子 貞雄
実梅落つ弘法大師像の辺に 佐々木なつ 美智子 曲水
滴りや仏ほのかに手燭かな 竹田ひろ子 美智子
万緑のはらむ洞窟四方八方(よもやも)へ 秋山しのぶ 美智子 宏枝
瑜伽堂の昏きを灯す金絲梅 佐藤弘香 美智子  曲水 幹
額の花くぐり仏の在す窟 中田のぶ子 美智子 けんじ 快泉
真言の泉湧きをり地上地下 熊谷ふみを 美智子
幽冥をてらすも涼し燭のゆれ 鈴木直枝 美智子 ○けんじ 貞雄 ○よしき
○啓花
観音の胸高椎の花溢れ 田中貞雄 美智子 曲水 暢子
音無川過ぎて涼しき水の音 舩山東子 美智子 ふみを 貞雄
大船観音すこし怖れて汗噴けり  同 ふみを
しんがりに洞を出で来て新樹光 石川曲水 ふみを いづみ
花苔の洞の標や行者道 田中一美 ふみを
木洩日の葉擦れにゆるる布袋草 河村啓花 ○ふみを
夏蝶となりて洞ゆく白昼夢 秋山しのぶ ○ふみを 曲水 ○暢子
瑜伽の洞弥勒に涙の滴りや 村松 幹 けんじ けんじ
燭の灯の消えて滴り聞へ初む 秋山しのぶ けんじ よしき
瑜伽洞の五感にふれり濃紫陽花 加賀暢子 けんじ
苔しずく御霊となりて岩を這う 佐藤いづみ けんじ
夏のれん風は裏から表から 石田快泉 けんじ 東子 暢子
立葵風が修業の田谷の窟 村松 幹 ○曲水
万緑のひかりを放つ観世音 加賀暢子 ○曲水 ○快泉 幹
洞窟の無言説法背の涼し 佐藤弘香 曲水 のぶ子 一美 直枝 いづみ
指先に滴り走り仏撫づ 菅野雅生 曲水
芒種なる田谷で祈願の百霊場 大西よしき 貞雄
椎咲くや金剛水を眉間に打つ 熊谷ふみを 貞雄
観音の瓔珞白し夏の鈴 菅野雅生 貞雄
夏闇の洞に数多の仏たち 菅野雅生 快泉
嘘でもいい信じて霊水痛む足に 佐々木なつ 快泉
パラソルの観音仰ぐ平和かな 佐藤弘香 快泉 巴里 雅生
炎昼や暗夜行路の田谷の窟 村松 幹 ○いづみ
瑜伽洞を出でし瞬時の風薫る 菅野雅生 ○克美


  
         花ラチョラ                        田谷の洞窟(定泉寺) 実梅     

参 加 者 名 簿 24人

 秋山しのぶ 浅見まさし 石田快泉 石川曲水 遠藤けんじ 大西よしき 加賀暢子 河村啓花
 熊谷ふみを 佐々木なつ 佐藤いづみ(初参加) 佐藤弘香 鈴木直枝 すずき巴里 菅野雅生
 竹田ひろ子 田中貞雄 田中一美 中田のぶ子 中島宏枝 舩山東子 村松 幹 盛戸まりの
 吉田克美              

 

思い出の記 C           精神安定剤     竹田ひろ子

 みちのく育ちの私にとって、鎌倉はあこがれの地でしたが、ちょっと遠いという思いもあり、なかなか行けないでいました。
 縁あって「ろんど」に入会、それからは時々リュックを背に鎌倉の街を歩いている自分でありました。何百年も前の仏像と会話し、春は紅白梅に誘われ、水仙を愛で、夏は万緑と、数えたらきりが無い程の大自然を満喫し、又貞雄さんの説明 を伺いながら対峙した古刹、歴史のロマンを思う。そして、句友との親交を深めな がら歩く街並は、私の精神安定剤でもありました。
 こんな幸せを私一人で味わうのは勿体ないと、主人を誘ってはみましたが、ま だ一人では歩けない事に気が付いたのです。
 私は鎌倉では、まだ自立していなかったのです。 そんなわけで、皆様、これからもどうぞよろしく!

 

あとがき

今月は、当初の計画を変更して、田谷の洞窟と大船観音を訪ねました。それぞれ3回目の吟行となりますが、、常連の参加者から、はじめて地底伽藍を見て感動したとか、いつも遠くから眺めている大船観音が、上半身の像であることに驚いた、等の声を耳にしました。谷のつどいの吟行では、寺院を訪ねることが多いのですが、句に詠まれるのは、行きずりの木草花に片寄る傾向にあり、今回の特異の句材に戸惑った人も居られたのではないかと思っています。

谷のつどいは、今回で126回の吟行が終了しましたが、100回目の会報からHPに登載しています。また、ろんどのHPも開設しましたので、パソコンをお持ちの人は、是非、ご覧下さい。また、HPに対するご意見をお聞かせください。

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