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 日時 :平成14年7月13日(土)
 吟行先:極楽寺〜成就院〜光則寺
 参加者:17人

次回 平成14年8月吟行予告

集合 : 8月10日(土)午前11時
     JR 鎌倉駅西口改札口
吟行先: 鶴岡八幡宮周辺
句会場: 若宮大路ビル(0467-22-1496)

作       品
作 者
選     者
溶けてゆくやうに初蝉鳴き細る 石川曲水 東子 のぶ子 ○宏枝
極楽寺坂崖より天降る草いきれ 池田祥子 のぶ子
茉莉花や雨後の法悦極め咲く 大西よしき 桂 ○祥子 貞雄
片濡れの大樹緑雨の彩のこる 田中貞雄 曲水 桂
土牢の奥処棲みつく梅雨の闇 池田祥子    
極楽寺行きの発車へ涼あらた 芹山  桂 美智子 けんじ ○快泉 貞雄
紫陽花の余命いたわる日照雨 遠藤けんじ ○美智子 曲水 祥子 桂 快泉
 直枝 弘香
夏鶯しきりに啼いてさみしさよ 舩山東子 ○けんじ 快泉 よしき
白蓮の崩れる様の高貴なる 佐藤弘香  
老鶯の声に彩さす雨上り  同 美智子 けんじ ○曲水 桂 祥子 
○雅生
雨傘を日傘と洒落て極楽路 大西よしき  
夏花持つひとと仏の軒を借る 中田のぶ子 美智子 弘香
老鶯のまこと滴る美声かな 田中一美 美智子 ○けんじ ○快泉
初蝉や寺領にありし照り翳り 佐藤弘香 美智子
初蝉の樹幹にまぎれ声張れり 芹山  桂 曲水
潮の香や紫陽花徐々に干し上がる 佐藤弘香 ○曲水 祥子 雅生
朝曇りいつもながらの笑む地蔵 舩山東子  
送り梅雨山門重く閉ざすなり 加賀暢子 ○桂
青梅雨の片隅苔の庚申塔 中田のぶ子 美智子 けんじ 快泉 貞雄
海光のはじける真紅夾竹桃 田中一美 美智子 ○けんじ 暢子
夾竹桃湿度充満血の色に 佐藤弘香  
太藺の花ばらけはじめて雨近し 田中貞雄 美智子 けんじ 祥子 暢子
仏池の小島縁取る半夏生草 菅野雅生 美智子 快泉
のうぜんや土籠上人風通す 加賀暢子 曲水
梅雨戻る千紫万紅戻らざる 大西よしき 快泉
巴里祭海見坂より海を見る 舩山東子 貞雄
極楽寺坂の墳墓くずれや青葉闇 加賀暢子 曲水 ○祥子 東子
枝あふるピカソの画布や百日紅 鈴木直枝  
片白草石積み井戸の水の音 加賀暢子 ○桂
彩りの汐浴び観ゆる地獄坂 菅野雅生  
星の井戸隙より薮蚊湧き出でぬ 池田祥子  
極楽寺坂風のころがる戻り梅雨 大西よしき けんじ
星の井の水を涼しと商へり 遠藤けんじ 美智子 桂 祥子
ハッキリと物言う舌や片白草 池田祥子 けんじ 雅生
曇り日の日差しねむたき半夏生草 遠藤けんじ  
老鶯も千服茶臼も慈悲の色 神戸京子 ○弘香
梅干さる日を待ちしんと梅大樹 芹山  桂  
成就院あぢさゐの首剃り落す 大西よしき ○曲水 一美 宏枝
老鶯の呼気ながながと梅雨払ふ 遠藤けんじ  
梔子の花雫もち匂ひけり 石川曲水  
神さびる連理の石の涼しかり(御霊神社) 鈴木直枝 貞雄
土牢の谷に染みゐる凌霄花 菅野雅生 美智子 のぶ子
曇りても晴れても機嫌片白草 田中貞雄 ○美智子 祥子 のぶ子
お地蔵とドロップつなぐ蟻の道 芹山  桂 貞雄 一美 雅生
樹下渡る風水引の走り紅 中島宏枝 ○貞雄 曲水
鬼百合の咲く恐竜の首のさき 菅野雅生  
雨走る寺領あかりの半夏生草 田中一美 東子
夏草や谷に吸いこむ海明り 鈴木直枝  
片陰の徳を日限し六地蔵 菅野雅生 けんじ 貞雄 一美
隧道を打つ靴音の呼ぶ涼気 石田快泉 貞雄 弘香
陽に近きところざわめく半夏生草 神戸京子 祥子 貞雄 ○東子 宏枝
青しぐれ浪音に聴く銜音 池田祥子  
面映き白装束や半夏生草 鈴木直枝
蓋さるる星の井しかと底清水 加賀暢子 曲水 桂 快泉 直枝
凌霄花草書のごとくこぼしをり 大西よしき けんじ
今日会えてうれしき白や時計草 田中一美 美智子 ○桂
初蝉のドップラー効果光則寺 中島宏枝 美智子
照り降りのはげしきひと日片白草 中田のぶ子 桂 貞雄 暢子
半夏生草現の色を染めあぐね 鈴木直枝 祥子 よしき
実桜や御車返してふ葉の茂り 神戸京子  


由比ヶ浜  光則寺
成就院参道から由比ヶ浜海岸を望む                    光則寺山門           

作            品
作    者
選       者
辛うじて舫ふ一叟黄釣船草 芹山  桂 美智子 直枝 よしき
梅苔のごつごつ生れ梅雨深し 田中貞雄 美智子
緋扇の緋にみちびかれ仏堂へ 芹山  桂 美智子
返り梅雨大たぶの樹を濡らしゆく 石川曲水 ○美智子
日照雨来る坂や初蝉に濡れながら 中島宏枝 けんじ 貞雄 よしき
乱鶯の谺ころがる谷の昼 田中一美 けんじ 曲水
初蝉や気怠き午後を立て直す 中田のぶ子 けんじ 祥子 東子 宏枝
鬼灯の色もて地蔵に紅さかん 石田快泉 けんじ
はや蝉の落ちどこ選ぶ極楽寺 菅野雅生 曲水
海光に濡れ炎天の磴に立つ 中島宏枝 曲水 祥子 桂
海に向く紫陽花のみな剪られけり 神戸京子 曲水 ○桂 貞雄 雅生
半夏生草寺領に残す靴の跡 佐藤弘香 曲水
鎌倉は緑に埋れ武者眠る 石田快泉 桂 ○直枝
先づ梢の葉音のひびき青しぐれ 中田のぶ子 桂 ○祥子 宏枝
極楽寺坂木下闇より鬨の声 舩山東子 祥子 快泉 暢子 ○一美
雲詰めて梅雨空といふ隙間あり 石川曲水 祥子
盆東風や葦の門入り禅の寺 山田耕路 快泉
青萩の目立ちがり屋の花一輪 中島宏枝 快泉
睡蓮の水満々と製薬鉢 池田祥子 快泉 弘香
雨に出て極楽寺坂の梅雨晴間 田中一美 快泉
万緑や歩む総身青むごと 山田耕路 ○快泉 直枝
万緑や弓なりに見ゆ由比ガ浜 中田のぶ子 快泉 貞雄
命得て夏鶯の啼きに啼く 神戸京子 ○のぶ子 ○暢子
目交(真中居)の仏の笑みや蓮蕾 鈴木直枝 ○よしき

 

思い出の記 D           思い出の天園    石 川 曲 水

 平成14年1月12日 鎌倉吟行先の覚園寺のせせらぎの小径を歩むうち、周囲の小高い丘陵を眺めていると昔(平成3年12月7日)の鎌倉吟行で、獅子舞ヶ谷〜天園〜瑞泉寺のハイキングコースをなつかしく想い出し、当日は小春日和の暖かさで快適であった。獅子舞ヶ谷はカエデやイチョウがとくによいコースだ。
  天園といふ呼び名は、昭和の初め元帥海軍大臣東郷平八郎が命名したもので、旧名は六国見と云い、明治初期での区画では相模、伊豆、甲斐、武蔵、上総、安房のこの六か国を一望におさめた峠である。現在、六国峠と云う(天園)。
  このコースは、鎌倉の屋根または「鎌倉アルプス」と呼ばれている。獅子舞ヶ谷から、登りつめると前方に鎌倉カントリーが落葉樹のあいだから見える。そのうちに大丸山(六国峠)または天園と呼ぶところに出る。天園には、天園茶屋茶店があり、葦簀をいっぱいにひろげていた。小春日和にいい汗をかいたあとは、そこで昼食となり、すきっ腹に握りめしを胃の腑に落した。その旨さは青い空気胸いっぱいのと、その峠の展望にあった。
  天園から貝吹地蔵そして瑞泉寺にぬけるこのあたりは、毎年、黄葉紅葉の織りなす錦がすばらしい。鎌倉の「日光」と云ふべきか。
  この吟行での美智子さんの句も思い出す。

   百年を一呼吸して楠冷ゆる                          鳥居美智子

 

あとがき

台風7号が本土を目指しはじめた梅雨の真中、長傘を持ち、ゴム靴を履き、極楽寺〜成就院〜星の井〜光則寺の予定のコースを吟行しました。夜来の雨は最後の吟行先の光則寺でぱらぱらと来ましたが、我々にとっては素材提供の雨と受け止め、老鶯の谺する谷を凌霄花、半夏生草などを鑑賞しました。ただ、当てにしていた成就院の参道坂の紫陽花が早々に剪られていたことは残念でしたが、その分「海の日」直前の由比ガ浜海岸が展望できました。

次回8月吟行は、厳しい残暑を予想して句会場の近い鶴岡八幡宮周辺を吟行します。吟行の前日まで(8月7日〜9日)ぼんぼり祭ですが、まだ祭りの余韻は楽しめそうです。皆さんの参加をお待ちしています。

8月1日から「ろんど」のアドレスは、http://rondo.ws
         「谷のつどい」のアドレスは、http://rondo.ws/yatu/yatunokai.htm
        
 に変更されます。

 

参 加 者 名 簿 17人

   池田祥子  石田快泉  石川曲水  遠藤けんじ  大西よしき  加賀暢子  神戸京子
   佐藤弘香 鈴木直枝  菅野雅生  芹山 桂  田中貞雄  田中一美  中田のぶ子
   中島宏枝   舩山東子  山田耕路                       

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