谷のつどい　14年10月

作　　　　　　品	作　者	選　　　　　者

破荷の音遊ばせる空のあお	鈴木直枝	美智子　けんじ　桂　京子
ばらばらの骨のオフジェや破れ蓮	山田耕路	美智子　けんじ　桂
草の絮十夜支度を見廻りぬ	田中貞雄	美智子　桂

爽籟や苔おく卵塔並び立ち	川上久美	美智子　○よしき
お茶会の衣擦れさやか草紅葉	加賀暢子	美智子
枯れ蓮田そこは蜻蛉の輪舞場	遠藤けんじ	尚子
桐の実の鳴りたくて風呼んでゐる	石田快泉	美智子　けんじ　貞雄　一美
赤とんぼ流されゆくも仏みち	鈴木直枝	美智子　東子
御十夜の山門の綺羅気高かり	田中一美
十夜法要白布を結び塔佇ちぬ	菅野雅生	美智子
潮鳴りを越える十夜の太鼓なり	盛戸まりの	美智子　雅生
海青き光り育てる烏瓜	石田快泉
蓮の実の穴の空白日が癒す	田中一美	美智子　尚子
山門も十夜仕度の化粧せり	菅野雅生	○快泉

和賀江島秋の素肌を灼くまじと	神戸京子	快泉
破蓮の余生穏やか水陽炎	川上久美	美智子　けんじ　○桂　快泉　 ○宏枝　尚子　直枝
爽籟の渡すさざなみ和賀江島	福永尚子
枯蓮の風に揺るるは弥陀の顔	山田耕路	けんじ
東司まで青茣蓙を敷く十夜寺	中島宏枝	美智子○けんじ　○快泉　 ○京子　○東子　○雅生　久美
開山の卵塔の裏秋陽濃し	盛戸まりの
三尊五祖砂に翳さす十夜祭	福永尚子	美智子　京子　快泉
色鳥や開山御廟日の斑散る	遠藤けんじ	○美智子　○貞雄　京子
石庭の波昇りゆく秋の蝶	神戸京子	○美智子　快泉　耕路　久美
打ち振るは別れの小袖実むらさき	福永尚子	桂　○耕路
あきあかね花托の穴を覗きをり	菅野雅生	桂　○啓花　久美
御十夜の賑わいに跳ね日向鯉	田中一美	美智子　東子　直枝
路地裏は裏の風あり柿たわわ	佐々木なつ	美智子　貞雄　啓花　耕路　暢子　雅生
海光に映ゆ十夜寺の五色幡	中島宏枝	貞雄　直枝
念仏の短さをもて女郎蜘蛛	盛戸まりの	京子　快泉
さまざまの落葉はりつく階の端	山田耕路
蓑虫の貌出す機嫌青い空	石田快泉	美智子　京子
十夜寺の裏山鵯の狂騒曲	芹山　桂	けんじ　宏枝
和賀江島サイケ調なり秋の帆は	舩山東子	京子
秋天の落し子めくや和賀江島	中島宏枝	美智子　○けんじ　○桂　雅生　久美　としき　尚子
足速のうちの会釋や十夜僧	鈴木直枝	美智子　○桂　○京子　宏枝　 ○久美　雅生
やわらかき言葉を受けし薄紅葉	河村啓花
蓮の葉と合はす連舞赤とんぼ	福永尚子	宏枝
揺れるたび天の声聞くはちすの実	河村啓花	美智子　けんじ　貞雄
身のおきどなきお十夜の猫一家	川上久美	美智子　けんじ　京子　貞雄　宏枝　耕路
お十夜寺に猫も屯の秋日和	加賀暢子
鯊の潮さす高楼の五色幕（十夜祭）	田中貞雄	美智子　桂　一美
鯉跳ねて色なき風の光明寺	加賀暢子
山門の罅あら尊十夜寺	鈴木直枝	○美智子　○京子
法要塔くるりくるりと秋あかね	河村啓花	美智子　暢子

作　　　　　　　　　品	作　　　　者	選　　　　　　　者
と胸衝くその名を知らず草の花	大西よしき	○美智子　貞雄
豆柿や宸筆の日の弾け飛ぶ	田中貞雄	美智子　よしき
お十夜の幡めぐらせて祭待つ	佐々木なつ	美智子　貞雄
大寄せの茶会や群るる秋あかね	神戸京子	美智子　貞雄
ひらひらと秋色撒いて赫とんぼ	石田快泉	美智子　京子　なつ
石庭の渦潮秋の陽と影と	遠藤けんじ	美智子　京子　啓花　なつ
敗蓮や生老病死の現世みる	大西よしき	美智子
野良猫の大きな貌の秋思かな	山田耕路	美智子　桂　京子　一美
蓮の実の水面に揺れて亀日和	神戸京子	美智子
廻廊の足摺音に秋の冷え	佐々木なつ	美智子　暢子
法悦に浸る茶会や鵙ひびく	田中一美	桂　耕路
十夜かな東淨（とうちん）までの長き茣蓙	芹山　桂	○直枝
献茶式衣擦れの音秋袷	舩山東子	○なつ
蓮破れて茎は鋼の色はじむ	中島宏枝	○尚子
石庭の渦巻き佛の秋思めく	大西よしき	桂　快泉
烏瓜開山廟を讃えおり	河村啓花	快泉　暢子
木の橋のおさえに立たす芒かな	福永尚子	桂　貞雄
猫深眠り十夜寺の真昼間	田中貞雄	けんじ　なつ
蜻蛉のよろこぶ羽や釈迦の石	盛戸まりの	○快泉　京子　東子
お十夜の弥陀に牽かるるわが両手	神戸京子	桂
香煙の揺らぎに寄りし秋のこゑ	中島宏枝	○快泉
秋日燦々和賀江の島を沈めけり	菅野雅生	○けんじ　暢子
お十夜の空澄み幡に風通う	河村啓花	けんじ　快泉　○一美
秋光憩う緑青の屋根の反りに沿い	川上久美	快泉

光明寺総門

光明寺山門